カウンセリングの構造について

カウンセリングを成功させるために守りたいいくつかのこと

カウンセリングでは来談者とカウンセラーが協力して問題の解決に取り組むために、プライバシーにかかわる個人的なお話を伺い、それをもとに心理学的な方法を用いて解決に導くのだ、という漠然とした印象をこの記事を読んでいる方であればお持ちなのではないかと思います。

それは概ね正しい理解だと思います。

ただ、一般には目を引かない形でカウンセリングを成り立たせている約束事がいろいろとあるのです。

それを一般的にはカウンセリングの構造と呼んでいます。

面接を成り立たせるために

例えば、あなたがカウンセラーの立場だったとして

来談者から「カウンセリングルームではなく、別な場所で会いたい」

と言われたり

突然「時間を変更させてほしい」と言われたらどうするでしょうか?

いろいろ困ると思いませんか?

そしてそれはビジネスとして困る、というだけではなく、その枠組みがあること自体がカウンセリングを成功へと導く条件になっています。カウンセリングの目には見えない入れ物のようなものです。クライアントが自分で自由に様々な要因をコントロールできるようであればカウンセリングの中身にも影響を及ぼします。そのように思いのままになるカウンセリングの形式なのであればカウンセリングの中身もその程度に割り引いてしか見なくなってしまうでしょう。

大切なカウンセリングを自身で価値を切り崩し、自分で尊重できないものに変えてしまいかねません。

婚姻届けだけ出した夫婦と厳かに式を挙げた夫婦のどちらが容易に離婚しやすそうであるか考えてみてください。

儀式、枠、約束事、こういうことはとても大切なものなのです。

カウンセリングを成り立たせる条件

では具体的にどんな条件が挙げられるのか?

どこで会うか?(場所)

いつ会うか?(時間)

料金は?(費用、キャンセル時の取り決め含む)

このくらいの条件が満たされていなくてはなりません。

これ以外にもカウンセリング担当者は特別な事情無く変更できないこと、を上げる方もいらっしゃいますが、アドラー派ではマルチプルカウンセリングなど複数のカウンセラーが関わる方式のカウンセリングなどもあり、話し合いによっては交代することもありうると思われるので、ここではカウントしませんでした。

もっとも当オフィスには今のところ私しかカウンセラーはいないので交代は不可です。

これらが守られるという合意があって初めて治療契約が成立し、カウンセリングが開始されることとなるのです。

この構造は絶対か?というとカウンセラーの技量が高ければ高いほど実はこだわりが緩くてもなりたったり、来談者のモチベーションが高ければ補える部分もなくはないです。ですが最初から甘えるべきものではありません。

ですから原則はきちっと守って仕事をしていきたいと思います。

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