子育てを学ぶ-カウンセリングより大切な仕事-

幸福な社会の実現に向けて

カウンセリングとは個人の悩みごとを心理学的に解決するのが仕事であり、カウンセラーの役割とは個人のニーズに応えて臨床心理学的な技能を提供する、というのが世の中で最も大勢を占める考え方ではないかと思います。

しかし一方で歴史的にも多くの心理学者が社会の在り方に言及するようになっていった事実があります。

それはどんなに個人が頑張ってもどうしようもない現実、社会の有様が人の生活を大きく型にはめてしまうという現実があるからだと思います。

例えば現在の社会は経済的には豊かになりましたが人と人の距離が遠ざかり、権利を最大限に主張した結果、相互に助け合う世の中から遠ざかりました。

一度正気に返ってこの問題を考えると、この傾向を加速させて良いとは誰も思わないだろうと思います。しかし改善しないのはどうしてか?みんな貧しいよりは豊かな方が良いと思っていてまだどうにかなるのではないか、という人任せな考えと、自分に何かができるわけではない、という言い訳からではないかと思っています。

でも真正面から考えて、やはりこのままでいいはずはありません。100年後の子孫のことを考えると、物凄く厳しい競争社会の中で人生を本当の意味で充実させられていない様子がイメージできるのではないでしょうか?

その中でいくら個人がもがいてもカウンセラーにできる助けは僅かなことです。

そして社会を形成しているのは一人ひとりの人間です。私たちの意識が変わればそれは目に見えるスピードではなくても社会が少し変化したことになるのです。

ですから昔の心理学者は個人から社会へと問題意識を変遷させていた人がいたのです。

子供のためだけではなく

アドラー心理学は昔から個人と個人・個人と社会の相互作用の中で協力しながら生活することの大切さに注目する所から生まれています。

そのために他者との協力・貢献・責任といった考え方を大切にしてきました。そして次世代を担う子供たちにもその資質を身に着けて欲しいと思っています。

「なぜ社会のためにわざわざ手間暇をかけてそんな子育てを?」と考える方もいらっしゃるかもしれません。しかしこれらの資質を身に着けて育った子供は家庭の中でも責任のあるメンバーとして振る舞ってくれることと思います。

最初は家庭の中からで結構です。

ですが本当に家庭の中で「勇気」をもって生活できる人に育ったなら、外の社会で活躍する準備が整うのです。子育て2

その結果、自分たちのためだった子育てが社会の役にも立ってくれるのです。

アドラー心理学の役割

アドラー心理学も臨床心理学ですので悩みを抱える個人を応援します。しかしその役割の大きさ、重要さを考えると、一個の人を極めて部分的にしか援助できないより、子育てを通じて「勇気」ある子を育てる手伝いができたなら、社会への貢献は個人の悩みを救済する以上の広がりを見せてくれるに違いありません。

ですからアドラー心理学では子育てを大きな柱の一つと考えています。その具体的な方法が日本ではPassageというグループを通して子育ての方法をお伝えしていくことなのです。

それぞれの文化、それぞれの地域で伝統的な子育てのやり方があったでしょう。

権威主義的な世の中では権威主義的な子育てをすることで十分立派な社会人を育てることができたことと思います。

しかし社会の価値観が大きく変わってしまうと、新しい時代のニーズに合った子育ての仕方を知るものがいません。そのため民主的な社会の中で家庭の中では権威主義的な育児が行われて子供に反発されたり抑え込んだり、はたまた放任主義的に甘やかして育ててしまったり、という過渡期的な現象が起こっています。

アドラー心理学の子育ては現在のニーズに十分こたえてくれるでしょう。

アドラー心理学の100年の歴史がその子育ての有効さを証明してくれています。ですから私たちは自信を持ち、胸を張って紹介できるのです。

どんなに悩んでも行動を起こさなければ問題は解決しません。

海の物とも山の物ともつかないアドラー心理学に眉唾な印象を覚えて二の足を踏む人もいるかもしれません。しかしことは何より大切な子供のことなのです。

現在の子育て方法が十分にうまくいっています、という家庭でまでアドラー育児をしてくださいとは言いません。

しかし何かの問題で子育てに手を焼いている家庭はそれこそ数えられないほどあるはずです。

私たちにはアイディアがあります。

アドラー育児を実践しているブログはたくさんありますから、私の記事だけではなくどうぞそれらを読まれて自分にできることを考えていただけたら嬉しく思います。

子育て3

関連記事

「勇気」をしつける子育てについて

ホームへ戻る