カウンセリングにおける目的論とは

行動の目的を知る

少し前に爆発的に流行った「嫌われる勇気」をお読みになられた方にはおなじみの考え方かもしれません(ちなみにあの本の著者は私の兄弟子に当たる方です。今のところ面識はありませんが)。アドラー心理学が巷で知られるようになったきっかけの本ですね。

あの中でも行動の目的について触れられていたようないなかったような・・・?

さて、過去の記事でも詳しく触れているので簡単にお話ししますが、人間が不適切な行動をとっている際に多くの場合、医学モデルに従い、過去の何か1つのことに原因を求めようとしますが、過去を観察できない、本人の主観的報告は当てにできない、もし本当だとしても遡ってない事にはできない、などの不都合があるのだというお話をさせていただきました。

何かの原因があることを否定はしません。しかしそれは確かめようがないし、カウンセリングには利用できないのだということです(個人の考えです)。

では私たちの行動には何の法則も基準も存在しないのかと言ったらそんなことは無いのです。もし何の法則もなかったら私たちの行動は何の予測も立たず、心理学を学ぶ意味もなくなってしまいます。では原因に代わって筋の通る説明は存在しないのか?その答えが「行動の目的」という考え方です目標

私たちの行動は原因によってではなく、私たちは将来の望ましいあり方に向けて現在の行動をレパートリーの中から無意識的に選んで表現しているのです。ということは私たちが不適切な行動について改善を望むのであれば「行動の目的」とそれを実現させるためにしている「行動」を知り、変えていけば良い、ということになるわけです。

解決志向カウンセリングとは

このような考え方を採用しているのは何もアドラー心理学だけではありません。原因がわからなくても解決を図ることができる、と考える心理学者はたくさんいたのです。

やり方はいろいろですが、結局のところ共通するのは「現在の不適切な行動」を変える、ということです。ただ私たちは簡単に現在の行動を変えたくはないのです。現在の行動に満足はしていなくてもこの先の展開がどうなるか読めているからです。何が起こるかわからない不安はありません。

しかし新しい選択を行うということはその次にどんな展開が起こるのかなど、予想がつかないのです。他人がそうしているのを見て知ってはいても自分がした時に他の人がどんな反応をしてくるかなど未知数です。個人差はあるでしょうけれど、勇気のいる選択をしなくてはならないだろうと思います。

その勇気を起こさせるために私たちは「行動の目的」についてカウンセラー、来談者ともに洞察をして、新たな行動を採用することに納得した上で勇気をもって次の展開へと踏み出していくのです。

カウンセリングの効果は「新たな行動」を通して得られる

解決構成という考え方がわかっていただけたでしょうか。

このような立場を取らない心理学ももちろんあります。共感してもらううちに新たな自己の可能性が成長して問題を発展的に解消できる。

過去のトラウマを思い出すことによりカタルシスが生じてその結果問題が解決する。などなど。

あり得ないとは言いませんが、統計的な効果は証明できないだろうな、と個人的には思っています。お好きなカウンセラーの先生方はたくさんいらっしゃいますし、頑張っていらっしゃるだろうと思います。またこれらの考え方が好きな来談者の方々もいるのかもしれません。お好きならそれは大変結構なことだと思います。

ただ残念なことに多くの来談者の方々はこれらカウンセリングの特徴を知らないままにカウンセラーやウェブサイトの印象や自宅からの距離や料金でカウンセラーを選ばれているだろう、ということです。

願わくばカウンセラーは自分の趣味嗜好や学校で習った延長ではなく、カウンセリングの効果をもっと真剣に考えたうえで専門を選び取って欲しいと思っています。

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