夫婦関係を再建させるための相談はある程度のニーズがあります。
ここでは夫婦関係の相談を考えている方に特に知っておいてもらいたいことについてお話しさせていただきます。
夫婦カウンセリングは二人そろってが基本
配偶者との関係を改善しようと相談にいらっしゃるのは多くの場合、妻が一人で来ることが多いように思います。しかしそのままいつまでも妻一人を相手に夫婦関係改善の話題を扱っていると思わぬ副産物が生じてきます。カウンセリングでは面接室にやってきた人だけが行動を変える相談ができます。裏を返せば面接室に来ていない人は相変わらずです。親が子供のことで相談に来た場合はそれでも成り立つことがほとんどです。親は無条件で子供に譲れるからです。しかし配偶者が相手になるとそうはいきません。やがて「何で自分だけが相手に譲ってばかりいて、こんなのは不公平じゃないですか」という心境になり配偶者に対しての不満が募っていくことが珍しくありません。そうするとやがて関係改善の話が離婚に傾き始めたりします。
ですから夫婦カウンセリングは早い時期に二人揃って受ることが大切なのです。未熟なカウンセラーにかかるとこういう状況のことを相談しているうちに「来談者のニーズが変わった。もしくは隠れているニーズに気が付いた」と言い出しかねないのですが、配偶者一人の面接を続けていたらいずれはこうなることは高い確率で予測が付くのです。カウンセラーを選ぶ際の目の付け所として知っておいてください。夫婦カウンセリングを受けようと思ってカウンセラーを選ぶ際にはそのことを知っているカウンセラーであるかどうかを確認して頂けるといいと思います。カウンセラーであってもこのことを知らない人は珍しくはないようです。
夫婦カウンセリングを成功させるために必要なことは夫婦が揃ってカウンセリングに来ることです。一方のみが参加した場合、格段に成功率が下がります。
配偶者に内緒で相談に来た、という方はいるでしょう。しかし関係の改善を目的とするならば是非相手と一緒に相談に来るべきです。ですから一緒に相談に行ってもらえるような工夫をするための話から始まることもありますし、そのためにカウンセラーから提案させていただくこともあります。
自己中心性から抜け出す
夫婦カウンセリングは個人のカウンセリングに比べて難しい点があります。
夫婦カウンセリングが難しい点とは夫婦双方にニーズがあるため、それがすり合わせ可能な話題であるかどうか、ということが問題となります。夫婦のカウンセリングである以上どちらか一方が満足するけれども一方が不満である、という形ではカウンセリングは終われません。そのため個人のカウンセリングでは自分一人の決心で決められることが、二人の合意にできるかどうかという問題が生じます。そしてそこでの一致が難しくなることがあるからです。
そして年を追うにつれて夫婦の合意が難しくなってきているように思われます。昔は「世のため人のため」という意識を子供に伝えようとしてきましたが、現代では「あなたがいいと思ったように」つまり言い方は理解があって美しく聞こえますがあなた目線で物を考えなさい、という育児を多くの親がしています。その結果その子らが成長して結婚して夫婦関係を自己中心的視点から捕らえがちで配偶者を思いやる心が昔に比べるとあまり育っていないのではないかと感じられる夫婦が増えた所によるようです。
ですので夫婦カウンセリングの成功率は年を追うごとに低下はしている感触があることは正直にお伝えしておこうと思います。しかし夫婦関係の再建を願うのであれば上述したようなことに配慮したうえで専門家の支援を考慮されるのが良いでしょう。
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