子供の言うことを鵜呑みにする親たち – アドラー心理学の観点から

 アドラー心理学では、親が子供を理解し、共に成長していくことに大きな重要性を見出しています。それに対して親が子供の言うことを鵜呑みにした対応をとることは、子供の理解、成長の促しにとって全く正反対の効果を現すと考えています。以下に、そのリスクと対策を整理し、躾に役立つポイントをお伝えします。

親が子供の言うことを鵜呑みにするリスク

  1. 責任感の欠如
    アドラー心理学では、「責任感」を育むことが成長において不可欠であると考えています。親が子供の言うことを無批判に受け入れてしまうと、子供は自分の行動や言動に対する責任を感じにくくなり、問題解決能力が育ちません。例えば、子供が学校に行きたくない理由として「友達にいじめられた」と言ったとき、その理由をすぐに信じて学校を休ませるのは、子供に「問題解決を自分でしなくても良い」というメッセージを送ることになります。これを避けるためには、親が子供の気持ちに共感しつつも、その状況を客観的に考え、問題を一緒に解決することが重要です。
  2. 親子間の信頼関係の悪化
    子供は自分の感情や思いを親に伝えたときに、親がどのように反応するかによって、その後の親子関係の方向に大きく影響します。もし親が子供の言葉を鵜呑みにして、何でも受け入れるような姿勢を示すと、子供は親を何でも自分の思い通りに動かせると認識するかもしれません。その結果、親の意見やアドバイスが軽視されるようになり、信頼関係が損なわれるかもしれません。子供は親のことを良く観察しています。親の弱点を良く知っていて、自分がどう振る舞えばどんな反応を引き出せるかたちどころに学習してしまいます。
    そうすると良くない親子関係のパターンが簡単に成立してしまいます。しかしそれは本当に子供の信頼を受ける親の姿ではありません。親が信頼できる存在であり続けるためには、子供の意見を尊重しつつも、親の考えを示し、適切な判断をすることが大切です。
  3. 自立心の欠如
    子供が自立した個人として成長するためには、自分で考え、問題を解決する力を身につけることが不可欠です。親が子供の言うことを無条件に受け入れ、代わりに解決しようとするのは過保護であり、子供の成長の機会を奪っています。それでは子供は自分で判断を下す機会を失い、他者の意見を受け入れる力や自己評価が育たなくなります。アドラー心理学では、自分で問題を解決する力を育てることが最も重要だとされています。子供に選択肢を与え、問題解決能力を養うことが必要です。

アドラー心理学を活用した親子関係の築き方

  1. 共感しつつも現実的な視点を持つ
    子供が困難な状況に直面したとき、子どもの気持ちに寄り添うことは大切なことです。しかし、感情に寄り添いつつも、現実的な解決策を一緒に考えることが最も重要なポイントです。たとえば、「学校に行きたくない理由は何だろう?」と一緒に原因を探り、その後どうするべきかを考えることで、子供は自分で解決策を見つける力を養うことができます。
  2. 親の信念や価値観を伝える
    親は「モデル」として子供に良い影響を与える存在です。親が自分の信念や価値観をしっかりと伝え、それを基に子供と共に解決策を考えることで、子供は責任感を学びます。例えば、「困難に直面したとき、どうすれば自分で乗り越えられるかを考えることが大切だ」という価値観を伝えることで、子供は自立心を育むことができます。
  3. 選択肢を与える
    子供に選択肢を与えることは、アドラー心理学の「自主性を尊重する」アプローチの一環です。親がすべてを決めるのではなく、子供が自分で選択できるようにサポートすることが大切です。例えば、「今日は学校を休むか、それともどうしても行かなければならない理由があるのか?」と選択肢を与えることで、子供は自分の行動に責任を持つことができます。
  4. 問題解決能力を育む
    子供が問題を抱えた時、親は指導的な立場に立ち、共に解決方法を考えます。例えば、「もし友達がいじめてきた場合、どうしたら良いと思う?」と質問を投げかけ、子供が自分で解決策を考える手助けをすることが必要です。この過程を通じて、子供は問題解決能力を養い、自立心を育むことができます。
  5. 感情的な反応を慎重に扱う
    子供が誰かとの間に問題を抱えた際、感情的になる親は自分の劣等感と上手く付き合えていない可能性があります。子どもが感情的になったとき、親がその反応を過度に受け入れたり、過保護に対応したりすると、子どもは感情を使って周囲をコントロールしようとすることがあります。このため、親は冷静に対応し、感情的な反応をどう受け止めるか、適切な反応を選ぶ必要があります。

結論

子供の言うことを鵜呑みにすることは、自己責任感や自立心を育む上で問題が生じることがあります。アドラー心理学を基に、親は子供の感情に共感しつつ、現実的な視点を持ってサポートすることが重要です。子供に選択肢を与え、問題解決の力を育てることが、子供の健全な成長につながります。また、親自身が冷静に自分の反応を考え、感情的な対応を避けることで、より強固な信頼関係を築いていくことができます。

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