ポップアドラー心理学にご注意を-アドラーを騙る功利主義者の跋扈する時代-

偽アドラーにご用心

注意

このHP,この記事にたどり着いた方は多かれ少なかれアドラー心理学に興味をお持ちであると思います。しかしアドラー心理学がにわかに流行りだしたせいで流行に便乗してお金を儲けたいという怪しい人たちが数多く現れています。

アドラー心理学に興味をお持ちになった方は是非ともこの記事に書かれていることを手掛かりに全うなアドラー心理学にアクセスして頂きたいと願い、この記事を書いています。

ことの発端は私の先輩が変な本を書いてベストセラーになったせいです(ちなみに彼のことを日本のアドラーの第一人者だと思っている方も多いと思いますが、それは勘違いです)。そのおかげでこれまでは自力でたどり着いた人が学ぶものであったアドラー心理学が、自己啓発の道具のように錯覚されて勘違いしたニーズを持った人が大分集まってくるようになりました。

我が先輩の著書の中に嘘は書いてなかったかもしれませんが、大事なことを書き漏らしていたおかげで世の中に多大な誤解を招いてしまったように思います。

コーチ、経営コンサルタント、整体師など心理学の専門家ではない人達、学会の資格を持っていない人達が聞きかじった知識をもとにして商売をしようとしています。

このような大衆化によって知名度だけが不自然に上がってしまったおかげで、それらを顧客に当て込んだ変なアドラー心理学を称するプロバイダーが雨後タケノコのように湧いて出ています。私が学会で名前を聴いたことのないような某経営コンサルタントだという人がさも詳しそうにネットに記事を書いていたりているのですが、実はその人は講師の言ったことをすぐに右から左に文章にしているだけで中身についての理解が乏しい、というありさまです。法的にどうかと思うほど内容を真似した本を断りなく出版したりもしていますが経営コンサルタントって著作権とかに詳しい人だと私は思っていたのですがどうなんでしょう?

アドラー心理学はゲゼルシャフトを価値の中心に据えて出来上がっている現代社会の悲劇を回避すべく展開している運動です。そのような思想が根本にあるため利潤追求、大量消費、環境破壊などの近代思想の産物に対してゲゼルシャフトを取り戻すという立場からの批判を思想的な背景として持っているのです。ですから経営コンサルタントがアドラーを語る、という時点でその装いはかなり矛盾したものとなっているのです。

アドラー心理学は思想、理論、技術から成り立ちますが、考えられるのはこの三要素の中から思想を無視して都合のいいところを商売に利用しているのだな、という所です。

動物は絶えず異種同種と競合して生存を勝ち抜く、という世界を生きていますが我々はやはり動物でありながら同種と協力して暮らすことで生きていく術を手に入れました。しかし動物であることには変わりなく、仲間うちで競合することも稀なことではありません。しかしそれではせっかく協力して生きていく社会を整えた私たちはその環境を生かすことができなくなり、自分の済むこの場所に居場所を失ってしまいます。

私たちは協力的に生きることも競合的に生きることもどちらも選べる生き物ですが、集団生活をする、という大前提に則るならば人は協力的に生きた方が必ず心穏やかに暮らしていくことができるでしょう。

しかしこの社会は現在協力的に出来上がっているでしょうか。それとも競合的に出来上がっているでしょうか。

競合的だよね、そこで有利になるためにアドラー心理学を学ぶというのは本末転倒だよね。今の社会に疑問を持ちながら生きようがアドラーの思想なのに今の社会のルールでより有利に生きていこう、その為にアドラー心理学を使おう、は思想を捨てた偽物なのです。

今の社会でよろしくやるためにアドラーを使うと人を支配し、傷つける結果になることでしょう。

アドラー心理学はかなり切れ味鋭い道具ですので思想確かなものが使うことで安全に活用できるのですが、それが無いと大変恐ろしい道具になりかねないのでアドラーと名の付く(我々に言わせると僭称ですが)サービスによって被害が拡大しかねないのはゆゆしき事態です。

日本アドラー心理学会の認定資格を所有しているかどうか。

例え偽物であってもアドラーという名称を名乗られていると一般の方には一緒に見えるでしょうからまじめに取り組んでいる者にとってはいい迷惑です。

そこでアドラーのセミナーや著作について触れてみようと思われる方に以下の点について気を付けていただけるようにお勧めしたいと思います。

それは提供者が日本アドラー心理学会の資格を持っている者であるかどうか、ということです。日本アドラー心理学会は国際アドラー心理学会に正しくアドラー心理学を伝えている団体として認められている国内唯一の団体です。こちらでは大変厳しくアドラー心理学の資格を認定しており、その資格を所持しているかどうかはとても安心できる指針です。

視覚は家族コンサルタント(パセージリーダー)、カウンセラー、心理療法士の3種類。

社会的な地位の工場や金儲けをそそのかすのは眉に唾を付けること。宗教と同じでお金儲けや現世利益を強調しているものはかなり胡散臭いです。アドラー心理学には家内安全のご利益は確実にありますがお金は儲からないでしょうし、地位が上がることもないでしょう。なぜならアドラーの思想は近代思想に対して批判的なシステムを持っているからです。

日本では公認心理師というカウンセラーの国家資格が生まれようとしています。しかし例えこの資格が正式に動き出しても所詮は名称独占の資格であり、業務独占の資格ではありません。故にカウンセリングなどの心理学関連サービスはどんな人が提供しても違法ではありません。「公認心理師です」と資格の無いものが言ったら違法ですが「私はカウンセラーです」となんの勉強もしてなくても今日から自分がそう名乗るのならば社会的な御咎めはありません。

だからこそ利用者は十分に注意して本当に良い情報にアクセスする必要があるのです。

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