反抗する子供のこころを理解する-アドラー心理学子育ての知恵-

子供が突然おかしくなったんじゃない

この記事に関心をもって読み始めている方はおそらく子供の反抗に手を焼いているお母さんではないかと思います。

そして「どうしてこうなったのか訳が分からない」と感じていらっしゃるのではないでしょうか。「今までは何ともなかったのに、どうして突然こんな風に」と。

「今の状況を何とかしたい」そのために「子供が何を考えているのか知りたい」そう考えていらっしゃるのかもしれません。常識的な思考の結果とは思うのですが、そもそもの問題意識の持ち方が誤っています。

「子供が何を考えているか分かりたい」と思うのはどうしてかというと、子供の事情で、子供の頭の中の理解しがたい原因によって、子供が反抗するようになった、との考え方が下敷きになっているからです。

しかしそうなっている理由は子供の頭の中にあるのではありません。それは親と子供の関係の中にあるからです。

そういう意味では今日の記事のタイトルには嘘があります。考えなくてはならないのは子供の頭の中ではなく私たちの関係についてなのですから。

子供が反抗するのはおそらくは親との関係に満足していないからであり、そういう経験が長く続いて来たことと関係があるのだと考えると、それはとりもなおさず子供の考えていることの中身を知ることではなく、これまでの親子関係について考えるこが必要だ、ということになります。

もう一度繰り返しますが子供の頭の中をどんなに予想してももっとも理由は出てこないのです。時々それを探らせるためにカウンセラーの所に子供を連れてこようとする方がいますが、残念ながらご期待には応えることができません。そもそもの認識の土台が異なっているから、というのは上記で説明した通りです。

「これまでの関係と言われても・・・」

そう思われるかもしれません。

しかし子供の不適切な行動はいきなり始まるように見えるかもしれませんが、決してそんなことはありません。気づかれてこなかっただけで、その背景では種がまかれて芽が伸びてきていたのだろうと思います。

子供が反抗するようになる以前の子供の様子を思い出せるでしょうか?

現在反抗している子はそのころ、きょうだいに比べてどんな子だったでしょう?

これまで親子で仲良く協力的に過ごしていたのに突然子供が反抗的に振る舞い始める、そんなことは無いのです。

「より気になる、心配になる、手をかけさせられる、何を考えているかわかりづらい所が落ち込みあった」この程度は子供だから当たり前、と思って日々を送ることに疑問を抱かず、変哲の無い日常として受け止められてきたのではないでしょうか。ですから親子関係の課題は気づかれないまま大きくなり、ある日誰の目にもはっきりとわかるように表面化した瞬間、突然子供だけが変質したように映るのです。

しかし子供が上記のようにふるまっているにはそれなりの理由があり、それは子供が小さな劣等感を芽生えさせているサインでもあります。

このサインを示す子が全て反抗的な態度を示すわけではありません。同じ状況を迎えた人間がみんな同じことしかしない訳ではないのですから。

しかし何か課題を抱えているこの背景には劣等感が潜んでおり、それは親子関係の中で様々なサインとして現れているものです。

子供の反抗を止めさせる、は火に油を注ぐだけ

このような経緯があって子供は反抗せざるを得なくなってきたのです。

そこに思いを致さず「反抗さえ止めば問題は解決する」「そのためには子供を威圧する」また「いいなりになる」などの対応をする世帯があります。

そうするともともと不安定だった基礎の上にさらに歪んだ建物を建てるようなもので問題がよりこじれていきます。

根本を見直すことなく場当たり的に対処していると子どもと喧嘩しているみたいになるかもしれませんし、子供の家来のようにふるまわなければならないかもしれません。

どちらの果てにも健全な親子関係は待っていません。どちらもなかなか悲惨です。

どちらもが子供に対して誤ったメッセージを伝え、親子の関係をさらに悪化させるものです。

アドラー心理学のお勧めとしてはそもそもの親子の関係に問題意識を遡らせて問題を認識し、基本的なコミュニケーションの再建をすることです。地味で遠回りで手間がかかるように見えますが確かな実をあげますし結局は近道です。

私たちにはそのための具体的な提案を差し上げることができます。お母さんに変わる勇気があればきっとお手伝いできると思います。

関連記事

優しく毅然とする-アドラー育児の基本的態度-

育児について-親は教育者だという自覚を

ホームへ戻る