子供が相談に行かなくても親が相談に来る効果-アドラーカウンセリングの狙い-

どんな時にでも選択肢はあります

子供の体は子供の心に従ってしか動かない、ということは以前にもお話しさせて頂きました。そこでお話しさせていただいたことは大人に子供の行動をどうこうしようとしてもできることではない、ということでした。それでも親が子供の行動について相談の話題に取り上げることには意味があります。人にはどんな状況でも選択肢があり得るからです。

例えば親には課題を抱えている子供の家族として暗い気分で過ごす、課題を抱えている子供の家族として明るく暮らす、のどちらかを選ぶことはできます。私たちは普段なんとなく自分のこれまでに照らして自然に感じる態度をとっているので、それを自分で選んだとの自覚はありませんし、そうせざるを得なかった、自分と同じ境遇に陥ったら人はこうなるのが当たり前だ、と思い込んで生活しています。しかし気が付かなかっただけで常に今とは異なる選択肢があります。

 

大人には子供を直接従わせるような力はありませんが自分の行動を選択する力は十分にあるのです。しかし残念なことにそのことに気が付いていない方はとても多いと言わざるを得ません。私はこれは大変もったいない事だと思います。子供が他所の子供のしているのと同じようなことをしていないと自分も幸せではない、という思い込みが暗黙裡に前提となった上に思考を組み立てていることが多いのです。しかしそれは決して当たり前のことではないのです。

 

明るく自分の人生を生きている人が家庭にいることの意味は決して小さくないと思います。子供と親の抱える課題は違います。ですから子供と親は決して一蓮托生の存在ではありません。家族が明るく過ごしても子供を援助することは可能ですし、暗い気分で視野の狭くなった家族に子供を援助することは難しくなると感じています。

 

子供の行動は子供の頭の中に何かが巣くって発生している訳ではありません。子供は周りの環境と共鳴して大人には分からない必然性によって現在の行動を選び取っています。それならば大人が態度を変えることは共鳴する周波数が変わることに相当するでしょう。

このことの持つ意味の大きさを決して軽視すべきではないと思うのです。

 

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