清く正しいカウンセリングの利用の仕方・アドラー心理学編-心理相談で元を取ろう!-

カウンセリングの際には素直が一番

度々カウンセリングはカウンセラーが来談者を癒すことによって効果があるのではなく、来談者がカウンセリングを通して社会との付き合い方、考え方を学び、生活の場で練習することを通じて対人関係を変えていくのであることをお伝えしてきました。

カウンセリングというのは作戦会議のようなものです。面接の中で確かな方針に安堵し、希望を持てて明るい気持ちになったとしても、そのプランを現場で実行しなければただの計画倒れです。
もし実際に生活場面の中で面接中に計画した行動を採用すればそれによって何らかの変化が対人関係にもたらされるのです。

今回の記事ではカウンセリングから学ぶ上でもっとも効率よく成果を上げるには来談者がどんな点に配慮すると良いのか、という点について考えてみたいと思います。

アドバイスは実行する

「カウンセリングではいい話を聴いた」と思っても生活の点検をしない、アドバイス通りに実行しない、という方がいます。カウンセリングの中で話したいことを聴いてもらい安心できてホッとしても生活場面での行動が伴わなければ問題は何も変わりません。
面接の中で学んだことはちゃんと生活の中で練習するのだという心構えをもって望んで頂けたらと思います。

また、学んだことを「やりたいこと」と「やりたくないこと」に分けて取捨選択する方がいます。これも同様にうまくいかないでしょう。

学んだことは生活の中で実践し続ける、これが大切です。

自分自身が問題を解決するのだ、ということを知る

どんなに優れたカウンセラーでも来談者に代わって問題を解決することはできませんし、カウンセラーがいいことを教えてくれて、それを試せば子供が途端に親の言うことを聴くようになる、本気でそう信じている人がたまにいらっしゃいますが、冷静に考えていただければわかると思いますがそのようなことは起こりません。魔法の言葉は無いのです。

少しだけ時間をかけて来談者自身が学び、自分が変わることで人間関係が変わる、と思っていただきたいのです。カウンセリングでは問題を都合よく解決する方法が手に入るわけではありません。努力して意味のあるやり方を知るためにカウンセリングは行われるのです。
自分が変わる努力をする気が無ければ解決する見込みが十分あると思われる問題でも解決はしないでしょう。

カウンセリングで学んだことは生活の中で取り組むということは対人関係の中でこれからもずっと応用して頂きたいことです。しかし中には少しだけ取り組んで、新しいことを知りたがり、新しいことを知ると前のことは疎かにする人がいます。

これではカウンセリングの意味がありません。

「人を変える方法」ではなく「自分が変わる方法」を学ぶ

自分は悪くない、相手が悪い、だから相手が私の思うとおりにすればいい、という考え方をされる方もいます。しかし他の人をその人の意思を無視してコントロールなどできはしません。たとえ血を分けた子供であってもです。無理やりそれをしようとすれば、最早それは洗脳と呼ばれる行為でしょう。コミュニケーション2

しかし自分の態度やコミュニケーションが変わればそれによって人とのコミュニケーションが変わります(対人関係論)。殆どの場合、問題とはコミュニケーションの中にあります。コミュニケーションが変化するには先ず自分からです。

カウンセリングとは自分がいかに変わるかを相談する場でもあります。

都合の悪い事でも重要なことは伝える

何らかの理由でカウンセリングが成り立つのに必要な情報の提供を差し控える方がいます。来談者の方はもちろんカウンセリングの成功を望んでいらっしゃるのですが、していることはそれに逆行しています。しかしそのこと自体に気が付いていません。

都合よく自分の計算通りにカウンセリングを利用することはできません。伝えるべき情報があるなら伝えなくてはカウンセリングは成功しません。

例えば
「子供が言うことを聴いてくれないんです」

との訴えがあったとして、実際には来談者がその子に頻繁に手を挙げているのに、そのことをカウンセラーには絶対に言わない、という方もいます。この例は来談者が自分で情報をコントロールしてカウンセラーを都合よく使おうとしている例です。

カウンセラーは子供を操るうまい方法など知りません。ただ対人関係を改善するための効果的な努力の方法を伝え、コーチすることができるだけです。しかしそれには肝心なことを隠されたままでは何の成果も得られないのです。

重要なパズルのピースがかけたままでカウンセリングは成功しません。

自分で決めた脚本は捨て

問題の解決像を来談者が事前に完成させていてその解決に必要な部品を手に入れようと相談にくる方もいらっしゃいます。

例えていうならば、数学の文章問題を読んで公式まで立てて、あとは公式の正しい解き方だけカウンセリングで教えてください、というようなイメージでしょうか。

しかし文章を読んで式を立てましたからあとは式を解く順番を教えてください、と言われてもそもそもの式が誤っていたら、そこから解を求めても意味がありません。文章問題の読み方から一緒に作業しなくてはいけないのです。

例えば
「子供がADHDなのでこういうことをさせたいんですが、現在こうこうこうなので〇〇したいのです。そのためにどうしたら良いでしょうか?」

しかし専門家から見るとその解決像そのものが誤っていると思われる場合も珍しくありません。そもそも医療機関を受診していた場合であっても、それは本当にADHDなのか、という疑義すらあります。それなのにその実現のためのアドバイスを求めても効果がありません。そしてやんわりとそのことを伝えると不快な様子を示されることが多いです。

心療内科につれていく?2これは自分が変わることをせずに現状の延長線上に問題を解決しようとしているのですが、残念ながらこの手の手段での問題の解決はほぼ不可能です。

もしかするとこういう方は全てをコントロールしていないと不安で気が済まない、などの強い拘りがある人でしょう。そして現在の問題はそのことと深く関係があるかもしれません。

以上カウンセリングを受けるうえで避けた方が良い利用方法を挙げることでカウンセリングを受けるうえで効果的な姿勢について逆説的に示してみました。

これからカウンセリングを考える方には参考にしていただけたらと思います。

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