親に知ってもらいたい子供のカウンセリングの実際

教育現場で行われているカウンセリングはこんなもの

子供にカウンセリングを受けて欲しい、受けてもらいたい、と願う夫婦は大勢いるのですが、実際には期待するほどうまくいっていないように思います。

なぜ上手くいかないのか?

どう考えて、どう対応すべきなのか?

子供に関わるカウンセリングの状況がどうなっているのか知ってもらい、親の取るべき対応について学んでもらえたらと思います。

親の期待は親のエゴ

もしも自分の夫が自分のしていることに不満足だから、お前カウンセリング受けて来い、と言って受けに行くでしょうか?100歩譲って受けにはいったとして本気で夫が自分にあると言っている問題に取り組むつもりになるでしょうか?

それがあり得ないのなら子供だって全く一緒です。

不登校で相談に連れてこられたとして、その子は親との義理などで相談にまでは連れてこられるかもしれませんが、本気で問題を落ち込み解決したいとは思っていません。そういうカウンセリングは成立しないのです。

例え親が子供のためを思い、社会の常識に沿った大勢の同意を得られる目的のためであってもです。それは子供のため、という装いをしていますが、背後では子供がこのままでは不安である、という親の不安に直結しています。親の不安は親の問題です。子供の問題とは分けて考えられるべきものです。

親が善意なのは良くわかります。しかし問題の多くは善意のすれ違いが悲劇を発生させ、拡大させるのです。子供が親の思い描く人生からコースアウトすることへの恐怖は親が自分で対処するべき問題であり、それを子供に解決させようとしている時点で本末転倒なのです。

このような施設には親の相談用の電話が設置されており、匿名でお話しすることが可能ですが、良く「こどもが〇〇で××なんです。□□させるにはなんて言ったらいいんですか?」と言ってくる方が時々います。こういう所では普通電話で済まない話(ちゃんと解決しようと思うならかなりの数が電話では間に合わない)は来所して相談することを促すのですが、本当に子供が変わる言葉を教えてもらえたらそれでいい、と思って連絡してくる人がいます。

切羽詰まっているのでしょうが、大の大人の考えることとは思いがたいものがあります。

自分の都合よく人が変わる、そのための手っ取り早い方法、そんなものはあり得ないのです。

心理学が教えてくれるのは正しい努力をする方法です。楽して思い通りなどあり得ないのです。

無駄なカウンセリングの横行

そして親はともかく専門家であるカウンセラー自身もこのような機微がわかっていません。

それで相談の意思のない子を相談の意思がない子を何とかしなくてはと思うのでプレイセラピーなど毒にも薬にもならなさそうなことをします。

そこにはカウンセラーが来談者を癒す、という幻想も加わっているのでしょう。

でもプレイセラピーでうまく言った子もいる、という反論が聞こえてきそうですが、例外的にうまくいく子はいますがそれはプレイセラピーの成功ではおそらくないのです。統計を出して有効性を証明できるかと尋ねると多分沈黙されるでしょう。

playプレイセラピーの中でもカウンセラーとの関わりを通して、子供の行動の特徴を観察できたり、親に言いたくても言えなかったことを言えるように勇気づけたり、足りない常識を補ったり、という働きかけは当然あって、そういう働きかけの蓄積が子供を成長させることはあり得ます。その程度のきっかけでもないよりましと考えるならそれでもいいのかもしれません。でもカウンセラーの専門性とはこの程度のことなのでしょうか。

気の利いた善意の大人でもできそうな範囲だと私は思います。

親が自分でこのように子供を支援できることがこの家庭の問題を解決するのです。問題は子供にあるのではありません。子供が問題を持つような構造が家庭の中にあるのです。

ですから本人にニーズの無いカウンセリングはほとんど失敗します。

本人の意思のない所にカウンセリングはない、とアドラー心理学では考えています。カウンセリングは自分が変わるために受けるもので血のつながった者でさえ、自分の都合によって変わってもらうために受けさせる、ではカウンセリングの構造が最初から破綻しているのです。

uabuしかし日本のカウンセラーはこの辺りの節操がない以前に何もわかっていないことが多いように思われてなりません。このようなカウンセリングが一番行われているのは教育委員会の息がかかった場所でのカウンセリング、スクールカウンセリングや一番酷そうなのが教育センターなどでのカウンセリングです。

多くの親は、カウンセラーが癒してくれる、大勢の人と同じ進路を歩めるようにしてくれる、そう錯覚して子供を相談に連れてきます。相談する意思のない子供と癒すつもりの親とカウンセラーでプレイセラピーが始まったりするのです。

しかし、その結果小学生から相談に通って中学生になってる子供などがいるのをみると、物凄く不道徳な活動が展開されているように思えてなりません。専門家の無知の罪は重いと思います。

大切なことなのでもう一度書きますが、子供が問題を持っていると思うのをやめた方が良いです。子供が問題を抱えるような家族の仕組みがあるのだ、それを発展的に解消させるには親が学ぶ方がよほど建設的なのです。

子供が不適応を起こしているのはエネルギーが足りないとか滞っているとか傷ついているとかではなく、社会につながる自信を失っているからです。それを回復する工夫を考えなくてはならないのです。

しかしカウンセラーは専門家だと思われている上、クライアントに親切に関わってくれるので、親はカウンセリングとはこういうものだと思って通い続けることになるのです。

時間を無駄にしたくないと思うのなら、カウンセリングは10回通って1ミリも全く事態が変わっていなかったらカウンセラーは交代させた方がいいということを覚えておかれると良いでしょう。何より子供自身に相談の意思がないのなら、親はそういう子の親として自分にできることを自分の問題として引き受けるのだ、と意識を切り替えることをお勧めいたします。

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